チベット仏教の象徴的存在・ダライ・ラマ14世が、90歳の節目を迎える2025年。
その“後継者”をめぐって、世界的に注目が集まっています。
ダライ・ラマ本人は「転生制度は続ける」と明言しながらも、中国政府は「選出には国家の承認が必要」と真っ向から反発。
果たして次のダライ・ラマは誰になるのか? そしてチベット仏教の未来は、どこへ向かうのか?
今回は、後継者問題の背景や最新の動向を、わかりやすく解説します!
▶️ダライ・ラマ14世ってどんな人?
仏教界のみならず、世界的な平和の象徴として知られるダライ・ラマ14世(テンジン・ギャツォ)。
その波乱に満ちた人生を、以下にまとめました。
生まれと認定
- 1935年7月6日生まれ(チベット・アムド地方、現中国青海省)
- 農家の子として誕生
- 2歳で前ダライ・ラマ13世の転生と認定
即位と亡命
- 15歳で即位(1950年)
→ 同年、中国人民解放軍がチベットに侵攻 - 1959年:チベット蜂起の失敗を受けて亡命
→ インド・ダラムサラにて亡命政府を樹立
国際的な評価
- 非暴力と対話を重視し、チベットの自治を訴える
- 1989年:ノーベル平和賞受賞
- 世界中の宗教者・人権活動家と交流
- 自らを「仏教僧であり、地球市民である」と語る
ダライ・ラマ法王14世公式ウェブサイトはこちら
▶️ダライ・ラマ制度とは?
ダライ・ラマとは、“海のように広大な智慧を持つ師”という意味。
チベット仏教(特にゲルク派)で最も高い地位を持つ指導者です。
その特徴は「転生による継承制度」。
前世のダライ・ラマが亡くなった後、その“生まれ変わり”を見つけることで新しい指導者が決まります。
選出は、高僧たちの夢や占い、聖なる兆しによって行われ、通常は数年かけて認定されます。

▶️今、なぜ“後継者問題”が騒がれているの?
ダライ・ラマ14世は、2025年7月でついに90歳を迎えます。
この節目に、次の後継者についての話が本格化してきました。
ダライ・ラマ本人の最新発言(2025年7月)
- 「転生制度は続ける」
- 「次のダライ・ラマは、中国ではなく自由な地に生まれる」
- 「選出は私が設立したガデン・ポドラング信託と僧侶たちが行う」
この発言に対して、中国政府が強く反発しているのです。
▶️中国政府との激しい対立
中国側は、「後継者の選出には政府の承認が必要」と主張しています。
その根拠に挙げているのが、清朝時代からの“黄金の玉筒(ゴールデン・アーン)方式”という儀式です。
さらに、中国では2007年に「宗教関係者の転生は国の許可制」という法律も制定。
これにより、中国が選んだ“別のダライ・ラマ”を発表する可能性も高まっています。
これはまさに「宗教の自由 vs 政治の統制」の象徴的な戦いです。

▶️インドと亡命チベット人の立場は?
なぜインドに?
ダライ・ラマ14世は1959年、中国によるチベット侵攻と武力弾圧を受けて、インドへ亡命しました。
それ以降、インド北部のダラムサラが、ダライ・ラマとチベット亡命政府の拠点となっています。
現在、インド国内には約10万人以上の亡命チベット人が暮らしており、チベット仏教の寺院や学校も多数存在。
ダラムサラは“リトル・チベット”とも呼ばれ、亡命コミュニティの中心地となっています。
インド政府の姿勢は?
インド政府はこれまで、公式にチベット独立を認めてはいません。
ただし、人道的立場からダライ・ラマ一行の亡命を受け入れ、
現在に至るまで政治的庇護と居住地の提供を行ってきました。
外交上は「一つの中国」政策を尊重しているものの、
実際にはチベット文化の保護や宗教的自由の擁護において、ダライ・ラマ側を支持する姿勢が強く見られます。
亡命チベット人たちの声
亡命チベット人の多くは、ダライ・ラマの後継者は伝統と本人の意思に基づくべきと強く信じています。
彼らにとって、ダライ・ラマは宗教指導者であると同時に、民族の希望と誇りの象徴です。
近年では、次世代のチベット人の中にも政治意識が高まり、
「民主的な選出」「制度の透明化」など、近代的な後継体制づくりを望む声も出ています。
▶️今後どうなる?3つの可能性
ダライ・ラマ14世の後継者について、今後考えられるパターンを3つにまとめました!
✅ ダライ・ラマ側が独自に後継者を選出 | インド国内や亡命チベット社会で支持される |
⚠ 中国が“別のダライ・ラマ”を任命 | 中国内のチベット仏教徒に向けて国家的にアピール |
🔁 両者の“ダライ・ラマ二重体制”が発生 | 世界中の仏教徒に混乱が広がる可能性も |
▶️まとめ
いかがでしたでしょうか!?
この記事では、2025年7月に90歳を迎えるダライ・ラマ14世の後継者問題について詳しく解説しました!
ダライ・ラマ後継者問題は、単なる宗教儀礼ではありません。
それは、チベットの文化的アイデンティティ、宗教の自由、そして中国との外交的緊張が交錯する、極めて重大な問題です。
今後、誰が「本物のダライ・ラマ」となるのか。
そして、それを誰がどう受け入れるのか。
その答えが、チベット仏教の未来、そして世界の宗教観を左右するかもしれません。
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